「チームリーダーって何をすればいいんだろう」
「どうやってチームをまとめたらいいんだろう」
「私はチームリーダーに向いてないのかも」
チームリーダーになりたての人の多くが、こういった悩みに直面します。
それまで、メンバーとしてチームリーダーの仕事ぶりを見てきたつもりでも、いざ自分がチームリーダーになると、何をしたら良いのかわからなくなります。
自分なりにチームをまとめようとしてもうまくいかず、チームリーダーとしてやっていく自信をなくしてしまうことも多いでしょう。
本記事では、そんなあなたがチームリーダの役割を理解し、自信を持ってチームをまとめていくために必要なことを解説します。
チームリーダーとは
チームリーダーとは、そのチームに課された業務を遂行する責任者です。
周囲からは、次のような振る舞いを期待されます。
- チームメンバーを束ねる
- チームの目標を達成するために率先して行動する
- 上司(マネージャー)や他部門との窓口となりコミュニケーションを取る
チームリーダーとチームメンバーの大きな違いは、次の2つです。
- チームリーダーは、「個人」ではなく「チーム」として成果を出すことが求められる
- チームリーダーは、チームの全活動に対して責任を負う立場である
この2つは、チームリーダーが果たすべき責務でもあります。
この2つの責務については、次の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
チームリーダーの5つの役割
チームリーダーが取り組むべき役割は、次の5つです。
- 目標設定:チームの目標を設定し、メンバーと共有する
- 業務管理:作業計画を作成し、進捗や課題を日々確認する
- 環境整備:メンバーが働きやすい場を作る
- 人材育成:チームの力を底上げする
- 情報伝達:チームに出入りする「情報」の窓口になる
①目標設定:チームの目標を設定し、共有する
チームリーダーの役割の1つ目は目標設定です。
チームとして成果を出すためには、まずチームとしての目標を設定することが必要です。
チームの目標を設定することで、「このチームがどこに向かって進んでいるのか」をチームメンバーに明確に示せます。
進む方向を明確にすることで、メンバーたちの目的意識が統一されます。
すると、メンバー全員が同じ目的を達成するために、自然に協力しながら業務を遂行するようになります。
チームリーダーは、まずチームとしての目標を設定しましょう。
チームの目標を設定する際の注意点は2つです。
- 注意点1:チーム目標は上位方針とつながっていること
- 注意点2:チーム目標をメンバーに共有し、浸透させること
注意点1:チーム目標は上位方針とつながっていること
チームの目標は、上位組織の方針や目標の達成に貢献できる目標でなくてはなりません。
チームの目標が上位目標から外れていたら、いくらチーム目標を達成したとしても組織の成果には貢献できないからです。
そうなっては、あなたやチームの活動が上司に評価されず、チームメンバーのモチベーションも保てなくなってしまうでしょう。
よって、あなたのチーム目標は、その上位組織の方針や目標につながる目標でなければなりません。
注意点2:チーム目標をメンバーに共有し、浸透させること
チームの目標は、設定しただけでは意味がありません。
チームの目標をメンバーと共有する必要があります。
そのために、チームリーダーはチームの目標をしつこいくらいチームメンバーに発信し続けなければなりません。
また、チームリーダー自らも、目標を達成する強い意思を行動で示すことが重要です。
そうすることで、メンバー全員にチーム目標が浸透し、メンバー全員に統一した目的意識が醸成されるのです。
②業務管理:作業計画を作成し、進捗や課題を日々確認する
チームリーダーの役割の2つ目は、業務管理です。
業務管理はチーム運営の要であり、チームリーダーが一番時間を割く実務です。
業務管理とは、具体的には次のStep1〜5を繰り返し実行することです。
- Step1:業務を遂行するための、作業計画を立てる
- Step2:作業の一つひとつに担当メンバーをアサインする
- Step3:作業の進捗を定期的に確認する
- Step4:進捗遅れや課題があれば速やかに対策をうつ
- Step5:必要なら、関係メンバーと調整して再計画する
業務遂行に必要な作業をWBS(※)で洗い出し、それぞれの作業の工数を見積もります。
※WBS(Work Breakdown Structure):プロジェクトのタスクを細分化して表で示す手法
WBSで洗い出した作業をどのメンバー担当するか決めます。
担当のアサインでは、メンバーの適性や育成も考慮しましょう。
担当メンバーに直接ヒアリングして、各作業の進捗状況を確認します。
遅れや課題を迅速にキャッチするために、進捗の確認は定期的に行いましょう。頻度はプロジェクトの規模やフェーズにもよりますが、少なくても週1回は確認します。
進捗確認のなかで、作業遅れや課題が判明した場合は迅速に対策を検討します。
現状の日程の中で課題の対策や遅れの挽回が難しい場合は、計画の見直しを行います。
計画を見直す場合は、関係する部門や上司とも合意し、関係者全員に見直した日程を共有しましょう。
この業務管理を行うことが、チームの全活動に責任を負うという責務を果たすための第一歩です。
メンバーの業務がどういう状況で、どんな課題を抱えているのか。
それを把握せずに「チームの全活動に責任を負う」ことなどできません。
上司に「あのプロジェクトどうなっている?」と聞かれたとき「担当に任せているので把握していません」と答えているようではダメなのです。
③環境整備:メンバーが働きやすい場を作る
チームリーダーの役割の3つ目は環境整備です。
ここでいう環境とは、チームメンバーが業務を遂行する上での心理的な環境のことであり、言い換えると「組織(チーム)風土」とか「職場の空気」のことです。
チームリーダーは、メンバーが働きやすい場(チーム風土)を作る役割があります。
「働きやすさ」にはさまざまな要素がありますが、チームとして成果を出すという観点で考えたときに、特に重要なのは「心理的安全性」です。
心理的安全性とは、「チームの中において、他メンバーからの反応に恐れず、恥じることなく、安心して自分の考えや意見を言える状態」のことです。
例えば、チーム風土が以下のようなチームは、心理的安全性が高いといえます。
- ミスしても理不尽に責められることがない。自分のミスをメンバー全員がカバーしてくれる
- 知らないことを質問しても馬鹿にされず、丁寧に教えてもらえる
- 困ったときにメンバーに助けを求めても、嫌な顔をされず助けてもらえる
- リーダーに相談に行くと、いつも真剣に話を聴いてくれて、どうすればいいか一緒に考えてくれる
このような風土のチームなら、メンバーは安心して自分の意見を発信したり、メンバー同士で協力し合ったり、ミスをすぐに報告したりできますよね。
その結果、チーム全体の生産性が高くなり、チームとして成果を出せるのです。
Google社が「効果的なチームとは何か」を研究したプロジェクトでも、「効果性が高いチームに最も重要な要素は心理的安全性だ」と結論づけています。
参考:「効果的なチームとは何か」を知る(Google re:work)
チームの心理的安全性を高めるには、次のような行動をチームリーダーが率先して実行すると良いでしょう。
- メンバーから相談されたら、どんなに忙しくても積極的に話を聴く(傾聴する)
- 困り事がありそうなメンバーには、リーダーが自分から話を聞きに行く
- 怒って怒鳴り散らすなどの感情的な行動を抑える
- 自分の弱みや失敗を見せる
- 他のメンバーも居る場で、メンバーの貢献に対する感謝を言葉で表す
- メンバーが他のメンバーについて否定的な態度を取ったら、間に入ってフォローする
チームリーダーが率先して実行していることが、いつしかチームの風土になり、心理的安全性が高いチームになっていきます。
④人材育成:チームの力を底上げする
チームリーダーの役割の4つ目は人材育成です。
チームとして成果を出し続けるためなのはもちろん、組織が持続的に存続し成長していくためにも、常に次世代の人材を育てていくことが不可欠です。
人材を育成するには、経験や実力が乏しいメンバーにも積極的に作業を振り、定期的に指導とフィードバックを行うことが必要です。
定期的なフィードバックによって、メンバーは自分の細かな成長を意識でき、モチベーションの向上にもつながります。
また、メンバーそれぞれの強みと弱みを把握し、強みを最大限伸ばしていくと同時に、弱みも最低限のレベルまで引き上げるようにすることも重要です。
これらの取り組みにより、チームの力が底上げされて、継続的にチームとして成果を出せるようになります。
⑤情報伝達:チームに出入りする情報の窓口になる
チームリーダーの役割の5つ目は情報伝達です。
チームリーダーは、内外の情報が集まる立場となります。
これらの情報を取捨選択してチームメンバーと共有したり、チーム外に発信したりするのもチームリーダーの役割です。
また、情報を伝達するだけでなく、自ら積極的に情報収集することも大切になります。
チーム外の情報をメンバーに共有する
上司からの指示や、他部門からの連絡事項はすべてチームリーダーに集まります。
チームリーダーは、入ってきた情報を取捨選択し、メンバーと共有すべき情報は速やかにかつ正確にメンバー全員に伝える必要があります。
たとえチームメンバーが統一した目的意識を持っていたとしても、メンバー各々が持っている情報のレベルが異なっていたら、チームとして成果を出すことは難しいものです。
例えば、プロジェクトの日程変更が一部のメンバーにしか伝わっていなかったら、メンバーによって目指す納期が変わってしまい、チーム力を十分に発揮できません。
メンバー全員がおなじ情報を共有できていることが、チームとして成果を出すために必要不可欠なのです。
チーム内の情報を外に発信する
チームの状況やチーム内で発生した問題などを上司や他部門に発信するのもチームリーダーの役割です。
特に問題の報告は速やかに行いましょう。
自分のチームで発生した問題を、上司や他部門に報告するのは精神的にきついですが、問題の報告を先に伸ばすほど事態は悪化します。
問題はすぐに報告し、早めに関係者全員で協議して対策を打つことが重要です。
情報収集する
チームリーダーは、情報の共有や発信だけではなく、目標達成のために必要なあらゆる情報を自ら収集し、分析しなければなりません。
そのためには、他のチームや組織全体の動きにも好奇心を持ち、常に自分が持っている業務情報や、自分を取り巻く環境の情報を更新していく意欲が必要です。
それが、業務の効率化や問題解決にもつながります。
チームリーダーに必要な資質
チームリーダーの職務を立派にやりとげるには、さまざまな資質が必要です。
資質とは、人それぞれが持っている性格的な強みや特質のことです。
人の資質には、例えば次のようなものがあります。
- ポジティブ
- 思いやりがある
- チャレンジを恐れない
- 正義感が強い
- まじめ
数ある人の資質の中で、チームリーダーの5つの役割をやりとげるために特に必要となる資質を紹介します。
目標設定に必要な「強い意志と覚悟」
目標管理の役割をやりとげるために特に必要な資質は、甘えや妥協を許さない「強い意志」と「覚悟」です。
目標設定を主導するチームリーダーは、簡単に達成できる難易度の低い目標を立てて、「目標を達成した」という実績を作ることも可能です。
ですがそれでは組織の成果に十分に貢献しているとは言えません。
目標設定では、チームの状態を客観的に判断しつつ、組織から求められている成果を達成するための目標をたてる事が重要です。
ときには、かなり努力しないと達成できない成果を求められることもあります。
そんなときでも、自分やチームを甘やかすような妥協を許すことなく、組織全体の成果を見据えて、達成すべき目標を設定しなければなりません。
たとえ状況が厳しいときでも、目をそらさずに成果を見据えて目標を設定する強い意志と覚悟が、目標管理には必要なのです。
業務管理に必要な「勇気と粘り強さ」
業務管理の役割をやりとげるために特に必要な資質は、リスクや問題から逃げない勇気と、問題解決をやり遂げる粘り強さです。
チームリーダは、毎日のように業務上の問題に遭遇します。ときにはいくつもの問題が同時に発生して、逃げ出したくなるような状況もあります。
それでも、チームリーダーは問題から逃げずに、メンバーと協力して一つひとつ問題を解決し、組織の成果につなげる必要があります。
そんな、問題から逃げない勇気や、問題を着実に解決していく粘り強さが、業務管理には必要なのです。
環境整備に必要な「潔白と公正」
環境整備の役割をやりとげるために特に必要な資質は、人に対する「潔白さ」と「公正さ」です。
環境整備とは、チームの人間関係や空気作りです。
チームメンバーの人間関係を良好に保つために、チームリーダーはメンバーからの信頼を獲得することが重要です。
そのためにリーダーは、自分と考えが違うメンバーとも分け隔てなく接し、メンバーひとりひとりの成果を平等に評価する公正さが必要です。
また、チームの成果に向けてメンバーが協力しやすい空気を作るには、チームリーダー自身が自分の成功よりもチームの成功を優先させる潔白さが必要になります。
このような公平さと潔白さが、環境整備には必要なのです。
人材育成に必要な「誠実さ」
人材育成の役割をやりとげるために特に必要な資質は、メンバーに対する「誠実さ」です。
メンバーを育成するには、メンバーそれぞれが持つ異なる能力や考えを理解することが重要です。
そのために、メンバー一人ひとりと誠実に向き合い、自分の考えを押し付けるのではなくメンバーの希望や考えに耳を傾け、「絆」を結ぶことが必要です。
このようなメンバーに対する誠実さが、人材育成には必要なのです。
情報伝達に必要な「正直さ」
情報伝達の役割をやりとげるために特に必要な資質は、「正直さ」です。
上司や他部門に情報を報告するとき、悪い情報ほど発信するのが嫌になることがあります。
例えば、チームが起こしたミスや失敗の情報を隠したいという衝動に駆られることもあるでしょう。
なぜなら。ミスや失敗の情報を上司や他部門に報告すれば、チームリーダーであるあなたが怒られるからです。
それでも、組織の成果に貢献するためには悪い情報ほど迅速に報告する必要があります。
チームリーダーは、チームのミスや失敗のような悪い情報を隠さず、ありのまま報告する正直さが必要になります。
このような正直さが、情報伝達には必要なのです。
資質は鍛えられる
ここまで読んだあなたは、「自分はそんな資質を持っていない」と自信をなくしているかもしれません。
大丈夫です。
資質は鍛えられます。
今は資質に自信がなくても今日から鍛えていけば、立派なリーダーとして振る舞える日が必ず来ます。
資質を鍛えるには、日頃から次のような行動を意識しましょう。
- 自分自身に高い基準を設定する
- 常に自分の言動や行動を振り返る
- 自分自身の成長のための努力を続ける
- うそや隠し事をせずに正直でいる
意識するだけでなく、このような行動ができたかどうかを日々振り返ってチェックしてみてください。
もし、できていなくても焦ったり落ち込んだりする必要はありません。
なぜできなかったのか、どうすればできるようになるかを考え、次は少しでも進歩するように務めれば良いのです。
そうすれば、資質が鍛えられ、自然にチームリーダーとしての役割を立派に遂行できるようになっていきます。
チームリーダーの役割をやりとげる秘訣
チームリーダーの役割やりとげるために、資質以外にも大切な秘訣があります。
その秘訣とは、「チームリーダーの役割の一部を、メンバーに任せてやらせる」というものです。
チームリーダー自身が5つの役割を一人で全部やらなくてもよいのです。
チームリーダーの役割なのにメンバーにやらるのは、任務を放棄しているように聞こえるかもしれません。
ですが、チームリーダーが全ての役割を背負わず、役割の一部をメンバーにも任せながらチーム運営することは、チームで成果を出すために非常に重要です。
「チームリーダーの役割はすべてリーダーである自分がこなさなければならない」と考えている人は、勇気をもってその認識を改めてください。
実際のところ、チームリーダーになりたての人が5つの役割すべてを一人でこなすことは、極めて難しいでしょう。
スーパーマンでもない限り、全てを一人でこなすのは不可能です。
にもかかわらず、チームリーダーがすべての役割をひとりでやろうと頑張ると、結局はどの役割も中途半端になり、リーダーだけが異常に忙しい状態になってしまいます。
これではチームとして成果を出すどころではありません。
チームとして成果を出すために、積極的にメンバーに助けを求めましょう。
例えば、
- 教育が得意なメンバーに人材育成を任せる
- 実務能力に優れたメンバーに業務の進捗管理を任せる
といった具合です。
日頃から誠実に公正にメンバーと向き合っていれば、あなたが助けを求めたときメンバーは必ず協力してくれます。
ただし、メンバーに任せっきりにしてはいけません。
チームリーダーは、チームの全活動に責任を持っています。
メンバーに任せている役割も、その責任はリーダーが負わなくてはいけません。
そのためにも、メンバーに任せた役割の進捗状況は常に把握し、定期的にフォローしましょう。
チームリーダーに向いてない人の6つのタイプ
前章では、チームリーダーに必要な資質や秘訣を紹介しました。
本章では、反対にチームリーダーに向いていない人の6つのタイプを紹介します。
- 自分の仕事に高い基準を設定しない人
- 評論家(口ばかりで実践できない人)
- 「何」が正しいかよりも「誰」が正しいかに関心を持つ人
- 仕事ができるメンバーに脅威や嫉妬を感じる人
- 人の強みよりも弱みに目がいく人
- 資質よりも能力を重視する人
このようなタイプの人はチームリーダーに向いていません。
その理由を解説します。
反面教師としてとらえ、あなたの行動に生かしてください。
自分の仕事に高い基準を設定しない人
自分の仕事に低い基準しか設定しない人は、組織の成果に十分に貢献できません。
また、チームの目標が低いと、メンバーはできることしかやらなくなるので成長できず、モチベーションも低くなってしまいます。
評論家(口ばかりで実践できない人)
口で言うだけで自分では実践できない評論家タイプの人は、メンバーからの信頼を獲得できません。
メンバーに信頼されなければ報連相が滞り、チームの状況を的確に把握することが難しくなります。
そうなると問題が発生しても迅速に対処できず、業務の納期や成果に支障が出ます。
「何」が正しいかよりも「誰」が正しいかに関心を持つ人
何が正しいかより誰が正しいかに関心を持つというのは、メンバーそれぞれの意見を公正に判断せず、常に特定の人の言うことが正しいと決めつける行動につながります。
このような人がリーダーになると、メンバーは正しい意見を言っても認めてもらえない経験をし、リーダーを信用しなくなります。
何が正しいかよりも誰が正しいかに関心を持つと、公正さを欠く行動につながってしまうため、チームリーダーに向いていません。
仕事ができるメンバーに脅威や嫉妬を感じる人
仕事ができるメンバーに脅威や嫉妬を感じる人は、自分のリーダーとしての地位をメンバーに奪われることを恐れ、メンバーの成果を公平に評価できなくなります。
場合によっては、メンバーの足をリーダーが引っ張るといったことにもなりかねません。
こんなことでは、せっかくチームに仕事ができる人が居てくれるのに、その人を生かせず、チームの成果も上がりません。
人の強みよりも弱みに目がいく人
人の強みよりも弱みに目が行く人は、人材育成においてメンバーの長所を適切に伸ばせません。
人材育成では、弱みの克服も必要ですが、メンバーそれぞれの強みを伸ばして生かすことがチームの成果にとってより重要です。
人の強みよりも弱みに目が行く人は、メンバーの強みを伸ばすことができないため、人材育成を主導するチームリーダーには向いていません。
資質よりも能力を重視する人
能力がある人は、ある程度は業務を円滑にこなして成果を出すことが可能です。
ですが、能力を重視して資質を軽視していると、自分の基準を見直したり、水準を上げ続ける努力をしたりすることを忘れてしまいます。
そうなると、自分の中の基準がブレてきたり成長が止まったりしてしまい、せっかく持っている能力をさらに伸ばすこともできなくなります。
能力も重要ですが、そのベースに資質があることが最も大切なのです。
テレワーク時代のチームリーダーの心構え
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークの普及が一気に進みました。
一時期は、企業のテレワーク利用率が56.4%まで上昇したほどです。
参考:総務省 情報通信白書(令和3年版)
テレワークとは、自宅やサテライトオフィスなど、本来の職場とは離れた場所で働くことです。
チームリーダーは、テレワークの環境でもチームの一体感が薄れないよう、特段の配慮が必要です。
テレワークしていると、メンバー同士が顔を付き合わせてコミュニケーションを取る機会が激減します。
そのため、メンバー同士のコミュニケーションが希薄になり、お互いの業務状況や困りごとを把握しづらくなってしまいます。
その結果、メンバー同士で助け合う頻度が下がってチーム全体の生産性が低下しかねません。
チームの生産性を維持するためには、チーム全員がお互いの状況や困りごとを把握し合える場が必要です。
チームリーダは、そのような場を意識的に作るようにしましょう。
具体的には、次のような活動が良いでしょう。
1日1回メンバー同士が情報共有する場をつくる
毎日決まった時間にメンバー全員が参加するリモート会議で、それぞれの業務の進捗や課題を報告し合うようにしましょう。
会議の時間は、10分とか15分程度で十分です。
この活動によって、メンバー同士がお互いの業務状況を知り、困りごとにアドバイスし合ったり、協力体制が維持されたりすることが期待できます。
会議の時間帯は、朝の始業時がオススメです。
朝イチでメンバー全員が集まることで、リモートで働いているメンバーの気持ちを仕事モードに切り替えられ、一日の仕事始めの起点になります。
日報をメンバー同士で共有する
日報をメンバー同士で共有することも、メンバー同士がお互いの状況や困りごとを知る手段として有効です。
通常の日報は、その日の進捗や課題、困りごとなどを上司やリーダーに報告するために書きます。
その日報をメンバー同士でも共有することで、メンバーがお互いの状況や困りごとを把握しあえます。
日報の記載をチャットツールやデジタルノート(OneNoteなど)で行い、メンバー全員にアクセス権を付与しておけば、共有するのは簡単ですし日報を見たメンバーがコメントを残すこともできます。
チームリーダーの役割のまとめ
チームリーダーの5つの役割は、次の5つです。
- 目標設定:チームの目標を設定し、メンバーと共有する
- 業務管理:作業計画を作成し、進捗や課題を日々確認する
- 環境整備:メンバーが働きやすい場を作る
- 人材育成:チームの力を底上げする
- 情報伝達:チームに出入りする「情報」の窓口になる
チームリーダーなりたての人でもこれらの役割をやりとげる秘訣は、役割の一部をメンバーに任せることです。
メンバーに助けてもらいながら、あなた自身もチームリーダーとして必要な資質を鍛えて成長していけば、必ずチームとして成果を出せるようになります。
本記事で紹介した「チームリーダー向かない人6タイプ」を反面教師にしながら、一つひとつの役割にひたむきに取り組んでみましょう。
あなたのチームがチームとして成果を出せるようになるよう応援しています。