アクティブリスニングは、職場の人間関係改善やコミュニケーション活性化に役立つスキルとして注目されています。
こんな悩みには、アクティブリスニングが有効です。
- 職場に活気がない
- チームのコミュニケーションを活発にしたい
- 部下が報連相してくれない
- 同僚との人間関係に悩んでいる
- 有益な1on1を実施したい
本記事では、アクティブリスニングのやり方や効果、実践するための具体的なテクニックやトレーニングの方法を解説します。
・アクティブリスニングとは
・アクティブリスニングのやり方
・アクティブリスニングの効果
・アクティブリスニングで重要な「聞き手の態度」
・アクティブリスニングの実践テクニック
・アクティブリスニングのトレーニング方法や上達のコツ
アクティブリスニングとは
アクティブリスニングとは、コミュニケーションスキルのひとつであり、相手の話をよく聴く「傾聴」の一技法です。
日本語では「積極的傾聴」と訳されています。
具体的には、相手の話に注意深く耳を傾けることで話し手の気持ちや考えを理解し、共感や質問によって話し手の本音を引き出すことで話し手自身が気持ちや考えを整理するのを助けて、問題解決に導く「話の聴き方」です。
臨床心理学者のカール・ロジャースが提唱したコミュニケーション技法であり、もともとは心理カウンセリングに用いられていました。
近年は、職場のコミュニケーションを円滑にして部下の自己成長を促せる手法としても注目され、マネジメントやコーチングで活用されるようになっています。
チームのまとめ役であるマネージャーやリーダーが身につけておきたいスキルのひとつです。
アクティブリスニングのやり方
アクティブリスニングは、「受容」「共感」「質問」を繰り返しながら話を聴きます。
具体的には次のように実施します。
受容 | 相手が話を始めたら、「うんうん、そうなんだ」と相手の話を全面的に受け止める。 自分の意見を差しはさんだり、相手の話を否定したりしない。 |
共感 | 話を受け止めたら、相手の立場に立って相手の気持ちや考えを理解しようと務める。 「あなたの話を理解しています」ということを、言葉やしぐさで相手に示す。 |
質問 | 質問によって、より深い方向や重要な方向に話を促す。 「それって具体的にはどういうことですか?」「興味深いですね。もっと教えてください」 |
受容や共感を相手に示したり、効果的に質問したりするための具体的なテクニックは、「アクティブリスニングの実践テクニック」の章で詳しく解説します。
アクティブリスニングの7つの効果
アクティブリスニングは、話し手と聞き手、そして職場全体にさまざまなプラスの効果をもたらします。
具体的には、次のような効果があります。
- 職場の人間関係が良好になる
- コミュニケーションが活発になる
- ハラスメント防止につながる
- メンタルヘルス対策になる
- 部下の育成につながる
- 部下の問題解決力が向上する
- 聞き手自身のコミュニケーション能力が向上する
職場の人間関係が良好になる
話し手は、自分の話を受け入れてもらえる安心感から、本音を話せるようになります。
本音で話し合うことにより信頼関係が築かれ、それが職場全体に広がることで職場の人間関係が改善されます。
コミュニケーションが活発になる
「自分の話を聴いてもらえる」「頭ごなしに否定されることがない」という安心感は、心理的安全性を高めます。
心理的安全性が高まることで、報告・連絡・相談といったコミュニケーションが活発になります。
情報伝達や問題のエスカレーションが迅速になり、生産性も向上します。
ハラスメント防止につながる
「まず相手の話を受け入れる」という傾聴態度を意識することで、相手の話を反射的に否定したり感情的に反論したりすることを抑えられるようになります。
部下からの報告を受けたときに、「それ違うだろ」と頭ごなしに否定したり、「なんでそうなるんだ!」と感情的にどなったりすることがなくなるため、ハラスメントを防止できます。
メンタルヘルス対策になる
部下の話をアクティブリスニングで聴くことで、部下のストレス軽減につながります。
部下(話し手)は、自分の話をちゃんと受け止めてもらえると言う安心感から、不安や不満などのネガティブな感情も本音で話せるようになります。
ネガティブな感情を吐き出すことによって、気持ちが楽になりストレスが緩和されます。(心理学ではこれをカタルシス効果とよびます)
また、普段から部下の話を注意深く聴いていると、部下の様子の変化にいち早く気づけるようになり、ラインケアが自然にできるようになります。
部下の育成につながる
部下の話をアクティブリスニングで聴くことで、部下は話をしながら自分の気持ちや状況を整理し、客観的に眺められるようになります。
さらに、聞き手が効果的な質問をすることで、部下の中に新たな気づきや発見が生まれ、自己成長につながります。
対話によって部下の不安や悩みを引き出し気づきを与えて自己成長を促す1on1ミーティングには、アクティブリスニングが必須です。
部下の問題解決力が向上する
問題の報告を受ける場面でアクティブリスニングを実施すると、話し手は問題を報告しながら自分の中で状況を整理して客観的に眺められるようになります。
すると話し手自身が問題の別の視点に気づいたり、新しいアイデアが湧いたりするようになり、問題解決につながります。
部下に対してこれを続けることで、部下の問題解決力が向上します。
聞き手自身のコミュニケーション能力が向上する
相手の話を受け止めて気持ちを理解するアクティブリスニングを続けていると、聞き手の共感力や他者尊重力(相手の立場や意見を尊重できる力)が高まります。
これは聞き手の他者受容スキルの向上につながり、聞き手のコミュニケーション能力が底上げされます。
アクティブリスニングで重要な3つの「聞き手の態度」
アクティブリスニングを実践するときに必要な「聞き手の態度」が3つあります。
この3つの「聞き手の態度」は、カウンセラーを目指す人が必ず習うアクティブリスニングの基本姿勢です。
カウンセラーでなくても、職場でアクティブリスニングを活用するためには知っておく必要があります。
この「聞き手の態度」なくして、アクティブリスニングは成立しません。
無条件の肯定的配慮
無条件の肯定的配慮とは、「あなたの存在を尊重しています」「何を話してもOKです」という受容の態度です。
具体的には、次のような態度をさします。
- 相手の話を否定せず「うんうん、そうなんだ」とまず受け入れる
- 話の内容が自分の意見や価値観と違っていても非難したり、話の途中で自分の意見を言ったりしない
アクティブリスニングでは、相手が話をしたときにまず無条件に受け入れて肯定する「受容」の態度が必要です。
これは、意識していないとなかなかできません。
私たちは、ついつい相手の話を評価したり、自分の意見を差しはさんだりしてしまいがちです。
それをぐっとこらえて、相手の話や感情を全面的に受け止めるのが、無条件の肯定的配慮です。
話し手は「ありのままの自分を無条件に受け入れてもらえた」と感じ、聞き手に信頼を置くようになります。
またネガティブな気持ちや考えも全て受け入れてもらうことで、気持ちが軽くなって自分自身を開放できます。
共感的理解
共感的理解とは、相手の立場に立って相手の気持ちや感情をわかろうとする態度です。
具体的には、「この人の立場だったら、こう言われたらこういう気持ちになるだろうな」ということをイメージしながら話を聴く姿勢をさします。
アクティブリスニングでは、相手の話を無条件に受け入れたら、次は「うんうん、そうだよね」「わかるよ」といった共感を示すことが大切です。
私たちは、自分と近い意見の人や、価値観が似ている人の話にはすんなり共感できます。
ですが、自分と違う意見や価値観を持った人の話に共感するのは、簡単ではありません。
相手の話に「あ、それなんか違う」といった違和感や、「なんかこの話イヤだな」といった嫌悪感を感じると、その気持ちが表情に出でたり、つい「それ違うんじゃない?」と言ったりしてしまいがちです。
すると相手は、自分の話を拒絶されたと感じて防御的になり、本音を言えなくなってしまいます。
そうなったら、アクティブリスニングは失敗です。
職場でアクティブリスニングを活用するには、意見や価値観が異なる人の話に対しても、共感の態度を示していかなくてはなりません。
このときのポイントは、自分の意見や価値観はいったん脇に置いて、相手の立場や置かれた状況だけに意識を向けて、
「なるほど、あなたはそう思うんですね」
「あなたの立場だったら、そんな風に感じるんですね」
といった共感を示すことです。
自分の意見や価値観を脇に置いて相手の話だけに意識を向けるには、次に説明する自己一致の態度が必要になります。
自己一致
自己一致とは、自分を偽らず自分に正直であること、そして「あるがままの自分」を受け入れようという態度です。
これは、例えば次のような姿勢です。
相手の話を聴いていて「あれ?なんか違うな」と違和感を感じたとき
「相手の話に共感するべきなんだから、違和感なんか感じちゃダメだ」と自分の気持ちを否定するのではなく、「私は今この話に違和感を感じているな」と自覚してその気持ちを受け入れる。
相手の話を聴いて「うらやましい」「悔しい」と感じたとき
「嫉妬なんかしてちゃダメだ」と自分の気持ちを否定せず、「私は今この人の話を聴いてうらやましいと感じているな」と自覚して受け入れる。
「無条件の肯定的配慮」や「共感的理解」が話し手に対する態度なのに対して、「自己一致」は聞き手自身に対する受容と共感の態度です。
この「自己一致」の態度は、アクティブリスニングを楽に実践するためにも非常に大切です。
聞き手も人間なので、相手の話を聴きながらさまざまなことを感じたり、時には感情が高ぶったりすることもあります。
特に、自分と違う価値観や意見をもった人の話を聴くときは、なかなか相手の話を受け入れられずイライラしたり、反論したくなったりしてしまいがちです。
そんなときに必要となるのが「自己一致」の態度です。
話を聴いていてイライラしたら、「私はいまイライラしているな」と、自分のあるがままの感情を正直に受け入れます。
自分の感情を正直に受け入れることで頭が冷静になり、イライラの原因を考えられるようになります。
「そうか、この人は自分とは違う価値観なんだ、だからこの話にイライラするんだ」
そう自覚してその事実を受け入れることができると、自然に自分の価値観と相手の話を分離して考えられるようになります。
すると、
「自分の価値観とは違うけど、この人はこういう価値観を持っているんだ」
「この人の立場だったらそういう意見になるのかな」
と、相手の話を受け入れて、楽に共感できるようになるのです。
アクティブリスニングの実践テクニック
アクティブリスニングでは、相手の話を受容し共感していることを話し手に示すことも重要です。
この章では、受容と共感を相手に示すための実践的なテクニックを解説します。
バーバルコミュニケーションのテクニック
バーバルコミュニケーションとは、文字や言葉といった言語を使ったコミュニケーションのことです。
言語を使って受容と共感を相手に示す手法には次があります。
相づち
相づちとは、相手の話の合間にはさむ短い受け答えのフレーズです。
相づちを打つことで、「あなたを受け入れています」「あなたの話を理解しています」ということを話し手に示すことができます。
話し手は、「自分を受け入れてもらえている」と感じ、安心して自由に表現できます。
[相づちの例]
うんうん、なるほど、そうなんですね、さすがですね、それから?
オウム返し
オウム返しとは、話し手が言った言葉やフレーズを、聞き手がそのまま繰り返すことです。
オウム返しをすることで、「あなたの話を正確に理解しています」ということを話し手に示すことができます。
また、話し手自身が自分の意見や気持ちを見つめ直して整理するきっかけになります。
オウム返しのコツ
オウム返しは、使いどころが難しい手法でもあります。
頻繁にオウム返しすると会話のテンポが悪くなり、話し手に「この人ちょっとくどいな」と思われてしまうため、次の2つのポイントに絞って使うと良いでしょう
- 話し手の考えや意見の要点(話し手が一番伝えたいであろう部分)
- 話し手が気持ちを表現したとき(嬉しい、悲しい、困った、つらいなど)
ポイント | オウム返しの例 |
---|---|
話し手の考えや意見の要点 | 話し手:「私の意見は○○です」 聞き手:「なるほど、あなたの意見は○○なんですね」 |
話し手が気持ちを表現したとき | 話し手:「いま、○○に困っているんです」 聞き手:「そうですか、○○に困っているんですか」 |
言い換えや要約
言い換えや要点とは、話のキーワードや内容のポイントを、正確かつ簡潔に伝え返すことです。
「あなたの話を理解しています」ということを話し手に示せるとともに、より正確に相手の意見や気持ちを理解する助けになります。
また、話し手が自分の考えや気持ちを整理して、より具体的に考えるきっかけになります。
[例]
話し手:チャレンジしたい気持ちもあるんですが、ちょっと怖い気持ちもあって、迷っています。
聞き手:それはつまり、失敗したくない気持ちもあるということでしょうか(相手の立場に立って「怖い」を「失敗したくない」に言い換え)
話し手:そうですね、失敗が怖いんです。
オープン・クエスチョン
オープン・クエスチョンとは、相手が自由に考えて答えられる質問のことです。
例えば、
- どんなミスだったんですか?
- 今後はどのように改善しようと思っていますか?
といった質問のしかたです。
オープン・クエスチョン形式で質問することで、「あなたの気持ちや意見をもっと深く知りたいです」という意思を話し手に示すことができます。
また、話し手が問題や課題を掘り下げて考えを深めたり、新しい気づきを得たりする助けにもなります。
オープン・クエスチョンとは逆に、「ミスしたんですか?」「今後は改善を考えていますか?」のように、答えの選択肢が「はい・いいえ」などに絞られている質問をクローズド・クエスチョンと呼びます。
オープン・クエスチョンのコツ
オープン・クエスチョンでは、「なぜ(Why)」より「なに(What)」を心がけると良いでしょう。
「なぜ(Why)」の質問をすると、相手は責められているような気持ちになり、萎縮してしまう可能性があるためです。
[例]
×「なんでこんなことになってるの?」(Why)
○「何があったの?」(What)
ノンバーバルコミュニケーションの手法
ノンバーバルコミュニケーションとは、「話し方」や「しぐさ」、「表情」などの言語以外によるコミュニケーションをさします。
人は、相手からの情報を判断する基準として、相手の言葉の内容はわずか7%しかなく、残りの93%が「話し方」や「表情」といった非言語的な情報だという実験結果もあります(メラビアンの法則)
そのため、アクティブリスニングで相手に受容や共感を示すときにも、次のようなノンバーバルコミュニケーションがとても重要になります。
うなずき
うなずきとは、首を縦に振って肯定の意思を示すしぐさです。
うなずきは、相づちと同様に「あなたを受け入れています」「あなたの話を理解しています」ということを話し手に示す効果があります。
うなずきながら話を聴くことで、話し手は、「受け容れてもらえている」と感じ、安心して自由に表現できます。
表情
聞き手は、話の内容に合わせて表情を変えるようにしましょう。
例えば、次のようにします。
- 楽しい話の時は笑顔で聴く
- 真剣な話や悲しい話の時は真顔で聴く
表情を話の内容に合わせることで、話し手に「あなたの気持ちを理解しています」「あなたの気持ちに共感しています」ということを示せます。
視線
話を聴いているときは視線を相手に向けるのが基本です。
聞き手が相手を全く見ないまま話を聴いていると、話し手は「この人は私の話を聴いていない」と感じてしまい、信頼関係が築けなくなります。
話を聴くときは、視線を次の位置に向けると良いでしょう。
- 話し手の目
- 話し手の鼻から口のあたり
- 話し手がジェスチャーをしたら、動かした体の部位
相手の目を見ながら話を聴くことで、「あなたの話を真剣に聴いています」ということを話し手に示せます。
ただし、あまり目を見すぎると、相手に威圧感を与えた緊張させてしまったりすることもあります。
話し手の鼻から口のあたりを見たり、体を見たりしながら、たまに目線を合わせるくらいが適切です。
姿勢
聞き手の姿勢は、話し手の話しやすさを決める重要な要素です。
聞き手は、話し手の方に体を向けて背筋を伸ばし、少し前のめりの姿勢で聴くのが基本です。
この姿勢にすることで「あなたの話に興味があります」「あなたの話をもっと聴きたいと思っています」といった意思を相手に示すことができます。
反対に、聞き手がやってはいけない姿勢は「腕を組む」「脚を組む」「肘をつく」「椅子にもたれかかって聴く」です。
腕や脚を組んだ姿勢は、話し手に威圧感や不快感を与えてしまいます。
また、肘をついたり椅子にもたれかかったりする姿勢は、話し手に「私の話を真剣に聴いていない」と感じさせます。
どちらも、話し手の「話をしようとする気持ち」を削いでしまい、深いコミュニケーションができなくなります。
声のトーンやペース
聞き手が相づちを打ったり質問をしたりするときの声のトーンやペースは、話し手の声のトーンやペースに合わせるようにしましょう。
話し相手は、相手の声のトーンやペースが自分と同じだと安心感や親近感を感じます。
それにより、話し手の緊張や警戒がやわらいで、深いコミュニケーションが取れるようになります。
アクティブリスニングのトレーニング方法
アクティブリスニングの修得に有効なトレーニング方法は次の2つです。
研修に参加
アクティブリスニングのトレーニングには、ビジネス向けのアクティブリスニング研修が有効です。
最近は多くの企業がビジネスパーソン向けに研修を実施しています。
もし、社内研修にアクティブリスニング研修があれば、ぜひ参加しましょう。
もちろん個人で外部の研修に参加するのもオススメです。
研修のメリット
- 講師によるレベルの高いアクティブリスニングを生で体験できる
- 研修生同士のロールプレイで、「話し手」「聞き手」の両方の立場からアクティブリスニングの効果を実感できる
職場での実践
アクティブラーニングは一朝一夕で習得できません。
職場での日々の実践が、もっとも有効なトレーニングになります。
特に、「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」「自己一致」といった3つの聞き手の態度は、意識していないとできません。
最初のうちは、意識していても難しいと感じるでしょう。
それでも、日々アクティブリスニングを実践することで、徐々に受容や共感の精度を高めていくことができます。
3つの聞き手の態度を手帳や付箋にメモして常に意識できるようにするなどの工夫をしながら、日々職場でトレーニングしましょう。
アクティブリスニング トレーニングのコツ
聞き手が楽になることを目指す
アクティブリスニングが上達する一番のコツは、「聞き手が楽になること」です。
前述したとおり、意見や価値観が異なる人の話を聴いていると、違和感や嫌悪感を感じて話を聴くのが苦痛になることもあります。
その苦痛を我慢して話を聞き続けるのは、ただの忍耐修行でしかありません。
我慢や忍耐の聴き方では、アクティブリスニングは決して上達しません。
自己一致の態度を意識し、自分の意見や価値観を脇に置いて白紙の状態で相手の話を聴けるようになることを、まず目指しましょう。
これができるようになると、自分の意見や価値観と相手の話を分離でき、あまり苦痛を感じずに相手の話を受け止められるようになります。
すると、「(自分の価値観とは違うけど)あなたはそう考えているんですね」という共感を示すのが楽にできるようになります。
聞き手が結論づけない
話し手自身が新たな気づきや発見を得て成長することが、アクティブリスニングの大きなメリットであり目的のひとつでもあります。
話し手が自ら気付きを得られるようにするためには、話し手自身が話を組み立てて整理する作業が必要です。
聞き手は、話の結論や新たなアイデアに気が付いてもそれを直接伝えるのではなく、オープンクエスチョンなどを使って話し手自身が気づけるように導きましょう。
「それは違う」と指導したいときは
アクティブリスニングでは無条件の肯定的配慮が必要とはいえ、「その考えは間違っています」としっかり指導するべき時もあります。
そんなときは、次の順番で指導すると良いでしょう。
- まず相手の言い分をしっかり聞く(受容する)
- 次に、相手の言い分に共感する(「なるほど、あなたはそう考えているんですね」)
- 最後にこちらの意見を伝える(「私はこうだと思います」、「私はあなたにこうしてほしいと思っています」)
まず相手の話を受容し共感を示すことで、相手もこちらの意見を受け入れやすくなります。
リモート会議でのアクティブリスニングの工夫
新型コロナウイルスの感染防止のためテレワークが普及し、リモート会議システムの導入が一気に進みました
「会議はリモートが主流になった」という人も多いと思います。
リモート会議では、相手の表情がわかりづらかったり、うなずきなどのジェスチャーが伝わりにくかったりするため、対面よりも受容や共感を伝えるのが難しくなっています。
リモート会議で受容や共感をしっかり示すためには、次のような工夫をすると良いでしょう。
- 相づちを多めに入れる
- うなずきを大きくする
- 表情の変化をオーバーにする
まとめ
アクティブリスニングは、職場の風土改善や人間関係の向上、人材育成に効果がある「話の聴き方」です。
アクティブリスニングを実践するポイントは次の2点です
- 「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」「自己一致」の3つの態度で傾聴する
- 「あなたの話を受け入れて、共感しています」といった姿勢を言葉や態度で相手に示す
3つの聞き手の態度は、意識していないと実践するのが難しいでしょう。
ぜひ、手帳や付箋などにメモして常に意識できるようにしておきましょう。
話し手に受容と共感の意思を示すには、バーバル(言語)コミュニケーションとノンバーバル(非言語)コミュニケーションの両方のテクニックをフル活用するのが有効です。
アクティブリスニングは、日々実践することで上達します。
アクティブリスニングを習得して、人間関係が良好で人材が育つ明るい職場を実現しましょう。