コミュニケーション力を高める手法としてアサーションが注目されており、社内研修に取り入れている企業が増えています。
アサーションは、「自分も相手も大切にする自己表現」と定義されており、社会人に不可欠なスキルとなりつつあります。
パワハラや職場のメンタルヘルス対策が必須になったり、テレワークの普及で職場の対人環境が劇的に変化したりしている今、職場のコミュニケーションのあり方や自己表現の仕方がより重要になったためです。
本記事では、アサーションについて次の項目をわかりやすく解説します。
- アサーションとは何か
- アサーションとアサーティブとの違い
- アサーションが注目されている3つの理由
- アサーションがもたらす3つの効果・メリット
- アサーション 3つの自己表現タイプ(あなたのタイプを診断できる無料診断シート付き)
- アサーショントレーニングのやり方
アサーションとは
アサーションとは、コミュニケーションスキルのひとつであり、相手を不快にさせずに自分の考えや意見をしっかり主張する自己表現の手法です。
アサーションを身につけることで、自分の考えや意見を「素直に、率直に」「その場に適した表現で」「相手を傷つけないように」自己表現できます。
職場で自分の考えや意見をちゃんと伝えるのは、意外に難しいものです。
仕事をしていれば、誰でも次のような経験があるでしょう。
- 言いたいけど言えなくて我慢した
- 言いにくいことを言わなければならくて、どう伝えていいか悩んだ
- 頼みごとを断り切れず、引き受けてしまって後悔した
- やんわり断ったつもりなのに、意図を汲んでもらえなかった
- 指摘したら逆ギレされた
アサーションは、このようなコミュニケーションの苦労を減らしてくれます。
- したいことを「したい」と言える
- できないことを「できない」と言える
- してほしいことを「してほしい」と言える
- やめてほしいことを「やめてほしい」と言える
- 言ったことで、相手を不快にさせたり傷つけたりしない
そんなコミュニケーションを実現できるのが、アサーションなのです。
このようなアサーションのスキルは、トレーニングによって誰でも身につけられます。
実際に、コミュニケーションが特に重要となる職種では、以前からアサーションの考え方やテクニックのトレーニングが行われてきました。
例えば、患者やその家族とのコミュニケーションが重要な看護の現場や、生徒同士のいさかいやいじめの撲滅が課題となっている教育現場では、アサーションを身につけるためのアサーショントレーニングの研修が盛んに行われています。
近年は、従業員のコミュニケーション力を高める方法として企業でもアサーションが注目されています。
アサーションの例
アサーションをよりイメージしやすいよう、事例を使って説明します。
例えば、次のようなシーンに直面したとき、あなたならどう答えるでしょうか。
[シーン]
『納期が間近なタスクが溜まってしまっている。納期に遅れないよう、今日は残業して溜まったタスクを処理しよう』
そう考えていた時、上司から「明日の会議で使う資料を今日中に作りたいので、手伝ってもらえないか」と頼まれてしまった。
もしかしたら、あなたは次のように答えるかもしれません。
- A:わかりました。お手伝いします。
- B:無理です!今忙しいんです。
これらの答え方は、どちらも問題があります。
A:わかりました。お手伝いします。 | 相手を不快にさせることはありませんが、自分の意見を主張できていません。 |
B:無理です!今忙しいんです。 | 自分の意見を主張できていますが、一方的な物言いで相手を不快にさせる可能性があります。 |
アサーションの場合、例えば次のように答えます。
[アサーションの手法を使った答え方]
納期が近いタスクが溜まってしまい、集中して作業しないと納期遅れを起こしてしまいそうです。
なので、今は自分のタスクに集中したいと思っています。すみません。
ただ、もし私のタスクの中に納期を延ばしても良いものがあれば、代わりに資料作りをお手伝いできます。
どうでしょうか。もし納期を延ばせないのなら、申し訳ありませんが私のタスクに集中させてください。
アサーションの手法を使った答え方では、相手に自分の状況を伝えた上で、条件次第では手伝えることを提案し、その提案を採用するかどうかを相手に委ねています。
このような回答なら、相手に不快な思いをさせずに自分の意見をしっかりと主張できます。
これがアサーションの一例です。
アサーションの意味
アサーションは「自分も相手も大切にする自己表現」(自他尊重の自己表現)と定義されています。
「相手の気持ちや立場を大切にしつつ、自分の気持ちや意見も抑圧せずに大切にできる自己表現(またはその手法)」という意味です。
相手も自分も気持ちがいい「WIN-WINのコミュニケーション」を実現できるアサーションは、「さわやかな自己表現」とも言われています。
英語のAssertion(アサーション)は、直訳すると「断言」「断定」といった意味になり、コミュニケーションスキルとしてのアサーションとはニュアンスが異なってしまいます。
そのため、和訳せず「アサーション」とカタカナ表記で使われています。
アサーションが生まれた背景
アサーションは、心理療法のひとつとして1949年にアメリカで誕生しました。
その当時は、引っ込み思案で自分の気持ちをうまく表現できない人に対する訓練の手法として、医療機関やカウンセリングで活用されていました。
その後1970年代に、黒人や女性に対する人権擁護運動が盛んになる中で、「差別され抑圧されていた人々が非暴力で適切に自己表現する方法」として活用されはじめ、さらに発展しました。
そのためアサーションでは、自分の意見を主張するのが苦手な人や立場が弱い人が適切に自己表現するためのさまざまな考え方やテクニックが確立されています。
アサーションの特徴
ここまでの解説で、アサーションとは単なる「言い方」や「伝え方」のテクニックだと思われたかも知れません。
確かに、アサーションには実践的なテクニックの側面もありますが、それだけではなく、次のようなさまざまな性質を持っています。
- 適切な自己主張の実践テクニック
- 相手の気持ちや立場も尊重しながら自己表現するコミュニケーションスタイル
- コミュニケーションにおける間違った思い込みを正す認知療法
アサーションを学ぶことで、自己表現のテクニックが身につくだけでなく、相手の気持ちや立場を尊重した深いコミュニケーションができるようになります。
さらに、コミュニケーションに対する誤った考え方が是正され、対人ストレスが軽減して気持ちが楽になります。
アサーションとアサーティブの違い
アサーションは、メディアによっては「アサーティブ」と表現されていることがあります。
また、同じメディアの中でも「アサーション」と「アサーティブ」の両方を使い分けていたりもします。
そのため、アサーションを初めて知った人が「アサーション」と「アサーティブ」の違いがわからず混乱してしまうことも珍しくありません。
アサーションとアサーティブの違いは「品詞」です。
アサーション(assertion)は「名詞」、アサーティブ(Assertive)は「形容詞」となります。
そのため、「アサーション」と「アサーティブ」は文脈によって使い分けられています。
アサーション | アサーティブ | |
---|---|---|
品詞 | 名詞 | 形容詞 |
意味 | 自己表現の手法 | アサーションが実現できている状態 |
活用例 | ・アサーションを学ぶ ・アサーショントレーニング | ・アサーティブに伝える ・アサーティブなコミュニケーション |
アサーションが注目される3つの理由
近年、企業でアサーションが注目されている主な理由には、次の3つがあります。
ハラスメント意識の高まり
2020年にパワハラ防止法が施行され、パワハラに対する意識が高まっています。
一方的に自分の考えを主張自己表現は、パワハラと受け取られるリスクがあります。
例えば、会議などで役職が高い人が声を大にして自分の意見をむりやり通そうとすると、部下には不満がたまります。
それが繰り返されると、部下は「自分の意見はいつも無視される」「いつも威圧的に意見を押しつけられる」と思うようになり、パワハラとして訴えられかねません。
そのため、相手を思いやりながら自分の意見を主張するアサーションがパワハラ対策として注目され、管理者研修などで取り入れられはじめています。
メンタルヘルス対策
近年、職場のストレスが原因のメンタルヘルスが社会問題化しています。
そのため、労働者が50人以上いる事業所ではストレスチェックが義務化されるなど、企業のメンタルヘルスに対する取り組みが強く求められるようになりました。
厚生労働省の調査によると、職場のストレス要因BEST3は「仕事の量」「仕事の質」「対人関係」です。
参考:厚生労働省 労働安全衛生調査(令和3年)
そのうち、対人関係のストレス対策として、相手も自分も気持ちがいいストレスレスなコミュニケーションの考え方が身につくアサーションが注目されています。
テレワークの普及
新型コロナウィルスの感染拡大で、テレワークがいっきに普及しました。
テレワークの普及によって対面でのコミュニケーションが減少したことで、次のような問題が発生しています。
- メールやチャットなどのテキストベースのコミュニケーションが増加したが、テキストでは言葉のニュアンスが伝わりにくく、冷たく受け止められがちなため、本当の気持ちがうまく伝わらず相手に誤解されてしまう
- オンライン会議で対面しても、パソコンの画面越しだと相手の表情やリアクションがわかりにくいため、相手の気持ちが読み取りにくい
- 何気ない会話ができなくなり、困りごとを相談できずに抱え込んでしまう
このようなコミュニケーション課題の対策として、適切に自己表現できるアサーションのテクニックや考え方が注目されています。
アサーションがもたらす3つの効果・メリット
アサーションを身につける効果・メリットとして次の3つがあります。
コミュニケーション能力が向上する
アサーションを身につけることで、コミュニケーション能力が向上します。
コミュニケーション能力を構成するスキルの中に、「自己表現」と「他者受容」があります。
自己主張 | その場に適した方法で、柔軟に、自信を持って自分の意見を発信できる力 |
他者受容 | 相手の立場・意見に共感し、 尊重する力 |
アサーションは自他尊重の自己表現であり、相手を思いやりながら、自分の主張をしっかり伝える自己表現です。
そのため、アサーションを身につけることで、上記の「自己主張」や「他者受容」の力が向上し、コミュニケーション能力が底上げされるのです。
他者受容スキル・自己主張スキルは、次の記事で詳しく解説しています。
仕事の生産性が向上する
アサーションによって、仕事の生産性が向上します
アサーションが職場に浸透すると、お互いに相手を尊重しながら積極的に意見を言い合える職場風土になっていきます。
安心して率直な意見を言えるようになるため、職場の心理的安全性が高まります。
その結果、コミュニケーションが活発になり、情報伝達や問題のエスカレーションが迅速になります。
そのため、職場の生産性が劇的に高まります。
Googleが社内で行った研究でも「効果性が高いチームに最も重要な要素は心理的安全性だ」と結論づけられています。
参考:「効果的なチームとは何か」を知る(Google re:work)
気まずい話がしやすくなる
次のようなシーンでは、自分の気持ちや考えをうまく伝えられなかったり、相手を傷つけたりして、気まずくなってしまうことがあります。
- お願いごとをする時
- 問題を報告するとき
- 頼みを断る時
- 苦言を呈する時
- 部下や後輩を注意するとき
そのため、これらのシーンが苦手だという人も多いでしょう。
このようなシーンではコミュニケーションを取ること自体を諦めてしまうことも少なくありません。
アサーションを身につけることで、相手を不快にさせることなく、自分の気持ちや考えを素直に表現できるようになります。
そのため、気まずい話をするシーンでも臆することなくする適切にコミュニケーションを取れるようになります。
アサーションの3タイプの自己表現
アサーションでは、自己表現のしかたを3タイプに分類しています。
私たちは、コミュニケーションする相手や状況に応じてこの3タイプを使い分けていますが、どのタイプの割合が多いかは人によって異なります。
それぞれのタイプの特徴を、詳しく解説します。
それぞれのタイプの特徴を知ったら、あなたの自己表現タイプがどれに当てはまるのかをチェックしてみましょう。
非主張的な自己表現
「非主張的な自己表現」タイプの特徴
非主張的な自己表現は、自分の気持ちや考えを率直に表現しないタイプです。
例えば、意見を聞かれても自分の考えを言えなかったり、嫌なことをされて内心は怒っていても笑顔で流したりするのがこのタイプになります。
前述したシーン(余裕がないときに上司から仕事を頼まれるシーン)で、断れずに「わかりました。お手伝いします」と言ってしまうのも、このタイプです。
また、あいまいな表現や自信なさげに小さな声で表現するといった消極的な態度も、非主張的な自己表現に含まれます。
このタイプの人は、相手を不愉快にさせないよう配慮するあまり、自分の主張を抑えて相手に合わせてしまうことが多くなります。
「相手を大切にし、自分は大切にしない」自己犠牲タイプとも言えます。
「非主張的な自己表現」タイプの人の傾向
次のような人は非主張的な自己表現になりやすい傾向があります。
- 自分に自信がない
- 対立やもめ事を極力避けたい
- 嫌われたくない気持ちが強い
- 間違いや失敗が恥ずかしい
- 責任を負いたくない
「非主張的な自己表現」による影響
自分の意見をはっきり言わないため、相手の意見が優先され、結果的に相手の言いなりになってしまいます。
また、周りの人に自分の気持ちが伝わらないため、誤解されることも多くなります。
例えば、本当はつらいのに「私つらいです」と主張しないため「あの人はまだ大丈夫」と誤解されて仕事を増やされたり、「助けてください」と言えずに仕事を抱え込んでしまったりしがちです。
相手の意見に合わせてくれる「いい人」と思われたりもしますが、本人はストレスがたまりやすくメンタルヘルスに陥るリスクがあります。
攻撃的な自己表現
「攻撃的な自己表現」タイプの特徴
攻撃的な自己表現は、相手の気持ちや立場に配慮せずに、自分の考えや意見を一方的に主張するタイプです。
例えば、自分が正しいかのように言い張りって相手を黙らせたり、相手の考えを聞くことなく自分の意見に同意させようとしたりするのがこのタイプになります。
前述したシーン(余裕がないときに上司から仕事を頼まれるシーン)で、一方的に「無理です!今忙しいんです」と言い放つのも、このタイプです。
また、優しい言葉や丁寧な態度で意見を述べていても、相手を言いくるめて自分の意見を通そうとしていたら、攻撃的な自己表現になります。
このタイプの人は自分の意見を通そうとするあまり、相手の話を聞かずに一方的にしゃべったり、つい声を荒げてしまったりすることが多くなります。
「自分を大切にし、相手を大切にしない」自己中心的タイプとも言えます。
「攻撃的な自己表現」タイプの人の傾向
次のような人は攻撃的な自己表現になりやすい傾向があります。
- 自信過剰
- 相手より優位に立ちたい
- 自分の弱さを隠したい
- 忙しい
- 疲れている
「攻撃的な自己表現」による影響
他人の気持ちに配慮しない威圧的な物言いや押しつけがましい態度で、相手を不快にさせることが多く、自分の主張が通ったとしても後味の悪い気持ちが残ることもあります。
例えば、部下がミスした際に理由も聞かずに「なにやってるんだ!」と怒鳴ったり、相手の忙しさを考慮せずに「明日までにこの仕事もお願い」と一方的に頼んだりすると、相手はイヤな気持ちになります。
このような一方的な自己表現を続けていると、コミュニケーションを取ること自体を敬遠されるようになり、良好な人間関係が築けません。
また、一方的な物言いはパワハラと捉えられるリスクもあります。
アサーティブな自己表現
「アサーティブな自己表現」タイプの特徴
アサーティブな自己表現は、自分の気持ちや意見を率直に表現すると同時に、相手の立場や気持ちにも配慮しながらコミュニケーションするタイプです。
例えば、相手とよく話し合って双方が納得できる落とし所を探したり、自分と相手の双方の意見を客観的に比較して自分の間違いを認めたりできるのがこのタイプになります。
前述したシーン(余裕がないときに上司から仕事を頼まれるシーン)で、自分の状況を率直に伝えた上で、条件次第では手伝えることを提案して、双方が納得できる合意点を見つけようとする表現は、このタイプにあたります。
このタイプの人は、相手の立場や気持ちを踏まえて、相手が不快にならない表現で自分の意見を主張します。
そして、自分の意見を主張したら、それに対する相手の反応を受け止めようとします。
相手の気持ちや考えに関心を持ち、自分の意見を主張するのと同時に相手の意見を理解しようと務める、いわば「話す」と「聴く」をバランスよく繰り返すコミュニケーションスタイルです。
また、常に自分の思い通りにコミュニケーションが進むとは限らないことを理解し、双方の意見に相違があれば合意点を探したり、時には譲歩したりといった柔軟な対応ができます。
「自分も相手も大切にする」アサーション的なタイプとも言えます。
「アサーティブな自己表現」タイプの人の傾向
次のような人は、アサーティブな自己表現になりやすい傾向があります。
- 素直で正直
- 適度な自信
- 謙虚
- 役職によらず、相手と自分は対等だと考える
- 意見や考え方は、人や立場によって違うことを理解している
「アサーティブな自己表現」タイプの自己表現の影響
相手の話をよく聴き、相手の気持ちや考えに寄り添いながら自分の意見を主張する態度は、相手に安心感や信頼感を与えます。
その結果、相手もこちらの意見に耳を傾けてくれることが多くなります。
そのため、お互いに気持ちや立場を理解し合いながら意見を言い合ったり、積極的に歩み寄ったりすることができるようになります。
例えば、部下がミスをしたときに、ミスした理由をよく聴き、自分は部下にどうしてほしかったのかを率直に伝えることで、部下は素直に自分のミスを反省でき、どうすれば良かったかを理解してくれるでしょう。
アサーティブな自己表現ができる人は、コミュニケーションで生じるストレスが少なく、良好な人間関係が築けます。
3つのタイプのまとめ
非主張的な自己表現 | 攻撃的な自己表現 | アサーティブな自己表現 | |
---|---|---|---|
スタイル | 自己犠牲 | 自己中心的 | アサーション的 |
スタンス | 自分を大切にしない 相手を大切にする | 自分を大切にする 相手を大切にしない | 自分を大切にする 相手を大切にする |
特徴 | 自分の意見を言わない 気持ちを表に出さない 曖昧な表現 消極的な態度 引っ込み思案 相手任せ 服従的 黙る | 一方的 威圧的 命令口調 大声でどなる 相手を操作する 相手を利用する 強がり 自分本位 | 率直 正直 相手が不快にならない表現 相手の意見を聴く 歩み寄り 柔軟な対応 協力的 自発的 |
影響 | 自分にストレスがたまる 誤解される | 相手にストレスがたまる パワハラになるリスク | ストレスレス 良好な人間関係 |
心理的な傾向 | 自分に自信がない 対立を極力避けたい 嫌われたくない 間違いが恥ずかしい 責任を負いたくない 過去を変えたい | 自信過剰 相手より優位に立ちたい 自分の弱さを隠したい 忙しい 疲れている 相手を変えたい | 素直で正直 適度な自信 謙虚 相手と自分は対等と考える 意見は人によって違うと心得る 過去と他人は帰られない |
職場において理想的な自己表現は、「アサーティブな自己表現」です。
非主張的な自己表現や攻撃的な自己表現のタイプの人は、アサーションをトレーニングしてアサーティブな自己表現を身につけましょう。
自己表現のタイプ診断 あなたはどのタイプ?
アサーティブな自己表現を身につけるには、自分の自己表現の傾向を現状把握することが重要です。
自己表現タイプの診断シートで、あなたの自己表現タイプを診断してみましょう。
出典:平木典子「アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法」よりチェック項目を抜粋
アサーショントレーニング
ここからは、アサーションを身につけるためのアサーショントレーニングについて解説します。
アサーショントレーニングとは
アサーショントレーニングとは、自分も相手も大切にするアサーティブな自己表現を身につけるためのトレーニングです。
アサーショントレーニングは理論編と実践編からなります。
- 理論編:アサーションの知識や考え方、テクニックを学習するフェーズ
- 実践編:ロールプレイや実生活の中でアサーションを実践するフェーズ
まず理論を学習し、学んだことを実践することで、アサーションが身につきます。
次の表は、アサーショントレーニングの具体的なカリキュラムの例です。
理論編の学習項目 | 学習する内容 |
---|---|
アサーションを知る | アサーションとは何か アサーションのが生まれた背景 アサーションがもたらすメリット |
アサーションに対する自信を持つ | アサーション権 |
考え方をアサーティブにする | ABCDE理論 |
言語的なアサーション・テクニック | DESC法 I(アイ)メッセージ Yes and話法 質問のかたちで意見する ポジティブな言葉を選ぶ 具体的な事実で語る |
非言語的なアサーション・テクニック | 声の大きさ 声のトーン 話し方 表情 姿勢 視線 |
実践編の学習項目 | |
---|---|
ロールプレイ | アサーションを疑似体験し、理解を深める |
実生活での実践 | 実生活にアサーションを取り入れ、繰り返し実践する |
表の項目のうち、「アサーションを知る」については本記事の前半で解説してきました。
本章では、残りの項目を詳しく解説していきます。
アサーション権 (アサーションに対する自信を持つ)
アサーション権とは、「だれもがアサーティブな自己表現をしても良い」という権利のことです。
アサーションでは、「アサーティブな自己表現」を良好な人間関係を築くための手段であると同時に、だれもが持っている権利であるとしています。
これは、アサーションが黒人や女性に対する人権擁護運動の中で発展してきた歴史に関係しています。
立場が弱い彼らは、人権擁護を主張するなかで「私たちには人権があるのと同時にアサーティブな自己表現をする権利もある」という概念を確立しました。
このアサーション権をよりどころとして、弱い立場にいながら臆することなく自信を持って人権擁護を主張し続けられたのです。
「だれしもアサーティブな自己表現をする権利がある」アサーション権という概念は、アサーションの哲学(あり方)とも言える非常に重要なものです。
アサーションを身につけようとする人は、自分にも相手にもアサーション権があるんだと確信することが大切です。
- 非主張的な自己表現タイプの人は、「自己主張しても良いんだ」「間違ってもいいんだ」と信じること。
- 攻撃的な自己表現タイプの人は、「相手にも主張する権利があるんだ」「相手を認めて自分の意見を変えてもいいんだ」と信じること。
これが、アサーションを身につけるための第一歩です。
アサーション権でうたっている具体的な権利をいくつか紹介します。
私たちは、尊重され大切にされる権利がある
だれもが一人の人間として大切にされ、気持ちや考えを尊重される権利です。
この権利は、お互いに意見を出し合うことの大切さを訴えています。
私たちは、行動を自分で決め、その決断に責任を持つ権利がある
ものごとを自分で感じたり、考えたり、行動したり、発言したりしてよい権利です。
自分の決断の結果は自分で受け止め、間違っていると感じたら意見や考えを変えても良いのです。
私たちは、過ちを犯し、それに責任をもつ権利がある
だれもがミスをしたり間違えたりしても良い権利です。
もちろんミスしないに越したことはありませんが、私たち人間は完璧ではないため間違えることもあります。
ミスを犯したらそれを素直に認めて反省し、次に生かせば良いのです。
私たちは、支払いに見合ったものを得る権利がある
私たちは、支払ったお金や労力に見合った対価を得る権利があります。
残業したら残業代を請求して良いし、努力して成果を上げたらそれを人事査定に反映するよう要求してよいのです。
私たちは、あえて自己主張しないことを選択する権利がある
常にアサーティブな自己表現をしなくても良い、時には自己主張しないことを選択しても良い権利です。
例えば、相手が怒りに我を忘れている状態のときなど、アサーティブな自己表現をしても火に油を注ぐだけだと思えたら、危険を避けるためにあえて主張しないで黙っていることを選択して良いということです。
自分の判断・責任で自己主張しないことを選択するのは、意見を言えない「非主張的な自己表現」とは異なります。
ABC理論 (考え方をアサーティブにする)
アサーティブな自己表現を身につけるには、あなたが非主張的あるいは攻撃的な自己表現になってしまう原因を修正することが大切です。
アサーションでは、「アサーティブな自己表現ができない原因は考え方にある。考え方が不合理だと非主張的になってしまったり攻撃的になってしまったりする」としています。
そして、自分の中にある不合理な考えに気づき、修正するためにABC理論が用いられています。
ABC理論とは、アメリカの心理学者アルバート・エリスが提唱した認知療法のひとつで、不合理な考えに気づき合理的な考えに変えていくためのカウンセリング理論です。
ABC理論では、「出来事と結果の間には人の信念があり、人それぞれの信念によって結果の見え方が変わる」と説いています。
「出来事(Activating event)」「信念(Belief)」「結果(Consequence)」の頭文字を取ってABC理論と名付けられました。
不合理な思い込みを正すための「反証(Dispute)」と、思い込みを正したことによる「効果(Effect)」を加えてABCDE理論と呼ばれることもあります。
- A:Activating event(出来事)
- B:Belief(信念)
- C:Consequence(結果)
- D:Dispute(反証)
- E:Effect(効果)
不合理な考え方の特徴は、頑固な思い込みや決めつけです。
たとえば、「〜するべきだ」「〜でなければならない」「〜に違いない」「〜なはずだ」といった考え方は、柔軟性を欠き、不合理な考えになりやすい傾向があります。
ネガティブな感情を抱いたときには、出来事と結果(感情)の間にある自分の信念は何か、それはどんな信念かを反証することで、自分の中の不合理な信念に気付けます。
不合理な信念に気付いたら、その信念を見直すことで、物事の受け止め方がポジティブになります。
その結果、アサーティブな自己表現がしやすくなるのです。
不合理な考えが原因でアサーティブな自己表現ができない事例
例えば、あなたは次のような考えを持ってはいないでしょうか?
□人は、だれからも好かれなければならない
□相手を傷つけてはならない
□仕事は計画したとおりに進むべきである
□この分野に関しては、私の方が正しはずだ
これらは多くの人が持っていそうな考え方ですが、これらも不合理な信念といえます。
このような決めつけがあると、非主張的あるいは攻撃的な自己主張になってしまう可能性が高くなります。
■「人は、だれからも好かれなければならない」「相手を傷つけてはならない」と考える人
この考えを持った人は、嫌われたり傷つけたりしないように、自分の意見を抑えて相手に合わせてしまいがちです。
その結果、非主張的な自己表現になってしまいます。
次のように考えることで極度に自分の意見を抑えることがなくなります。
○性格が合わない人がいるのは仕方がないので、私のことが嫌いな人がいても良しとしよう
○気をつけていても相手を傷つけてしまうことはありえる。傷つけてしまったらそれを修復する努力をしよう
■「仕事は計画したとおりにすすむべきである」と考える人
この考え方を持っている人はは、仕事が計画通り進まないとイライラしてどなったり、無理やりリカバーしようとして部下に無茶な指示を出したりしがちです。
これは、攻撃的な自己表現です。
次のように考えることで、計画通り進まなくても無駄にイライラすることがなくなり、前向きに対処できるようになります。
○仕事は計画通り進むとはかぎらない。遅れがでたらそれをリカバーする努力をしよう
■「私の方が正しいはずだ」と考える人
この考え方を持っている人は、相手が間違っていると決めつけて自分の意見を認めさせたりすることに気が向いてしまい、相手の話を十分に聴けなくなってしまいます。
これも、攻撃的な自己表現です。
この考え方を持っている人は、相手の話に耳を傾けられるようになります。
○自分が常に正しいとはかぎらない。今回は相手の方が正しいのかもしれない
DESC法 (言語的なアサーション・テクニック①)
ここからは、言語的なアサーション・テクニックを解説します。
言語的なアサーション・テクニックの代表ともいえる手法がDESC法です。
DESC法は、自分の気持ちや意見をアサーティブに伝えるためのフレームワークです。
D | Describe(描写する) | 周囲の状況や相手の言動などの事実・現象を客観的、具体的に描写する |
E | Express(表現する) Explain(説明する) | 状況や相手の言動に対する、自分の主観的な気持ちを表現する |
S | Specify(提案する) | 相手に望む具体的・現実的な行動を提案する |
C | Consequence(結果を伝える) Choose(選択肢を提示する) | 提案による成り行きを示し、選択肢を提示する |
自分がおかれた状況や素直な気持ち、意見などをD・E・S・Cの4つに分類して整理し、D→E→S→Cの順に伝えることで、相手に自分の気持ちや状況を理解してもらいつつ自分の意見を主張し、相手の立場や気持ちにも配慮したコミュニケーションがとれます。
前述した、「余裕がないときに上司から仕事を頼まれるシーン」でのアサーティブな回答例も、DESC法になっています。
D | 納期が近いタスクが溜まってしまい、集中して作業しないと納期遅れを起こしてしまいそうです。 |
E | なので、今は自分のタスクに集中したいと思っています。すみません。 |
S | ただ、もし私のタスクの中に納期を延ばしても良いものがあれば、代わりに資料作りをお手伝いできます。 |
C | どうでしょうか。もし納期を延ばせないのなら、申し訳ありませんが私のタスクに集中させてください。 |
DESC法は、説明が複雑な話や伝えるのが気まずい話を伝えたいときなどに特に有効です。
前もってDESC法でセリフを考えておくと、相手を不快にさせることなく自分の主張をアサーティブに伝えられます。
何度もDECS法を使ううちに習慣化し、とっさの会話でもDESC法で気持ちや意見を表現できるようになります。
DESC法の2つのポイント
・DとEをしっかり区別する
Dでは主観を交えずに、誰が見てもわかる客観的な事実だけを伝えます。
Eでは気持ちを素直に率直に述べましょう。
・Cに対して相手がYESと答えた場合、NOと答えた場合の対応もあらかじめ考えておく
私たちが、意見や提案を言えないのは、相手に拒否されるのが怖いからです。
あらかじめ、NOと言われたときどうするかを考えておく、つまり拒否されたときの準備もしておけば、拒否されるのも想定の範囲内となり、恐れることなく意見や提案を主張できるようになります。
DESC法の練習問題
次のシーンで、部下に進捗報告を促すセリフをDESC法で考えてみましょう。
[シーン]
1週間前に部下に依頼した仕事の納期が2日後に迫っているのに、まだなんの報告も相談もない。
これじゃあ納期に間に合うのかどうかもわからない。
定期的に進捗報告して欲しい。
アサーティブな回答例:
D | この前依頼した仕事の納期が2日後だけど、まだ1度も進捗の報告がないね |
E | 順調に進んでいるのかわからないから、心配しているよ |
S | 中間報告でもいいから、定期的に進捗を報告してくれないかな |
C | そうすれば、私も安心して任せられるし、困ったことがあればすぐにフォローができると思うんだけど、どうだろう |
<参考>
「非主張的な自己表現」の例 | この前お願いした仕事、納期が2日後だからお願いね。 (進捗報告して欲しいことを伝えられていない) |
「攻撃的な自己表現」の例 | なんで1度も報告がないんだ、定期的に報告しろ! (一方的で威圧的) |
I(アイ)メッセージ (言語的なアサーション・テクニック②)
I(アイ)メッセージとは、「私」を主語にしてメッセージを伝える手法です。
私は○○だと思います。
僕は△△な気分です。
といったように、「私は」(英語では「I(アイ)」)から始まるメッセージのため、I(アイ)メッセージと呼ばれています。
私たちは、相手の行動を注意したり何か要求したりするとき、ついつい「あなた」が主語のYouメッセージで主張してしまいがちです。
ですが、「あなた(You)」を主語にするよりも「私(I)」を主語にする方が、相手の反発が減って受け入れられやすくなります。
[例1]
×(あなたは)聞かれる前に報告しなさい
○ 報告がないと、私は心配になるんだよ
[例2]
×(あなたは)そういう威圧的な言い方をやめるべきです
○そういう言われ方をすると、私は悲しいです
Yes and話法 (言語的なアサーション・テクニック③)
Yes and話法は、相手の主張の良い部分や同意できる部分を認めつつ、自分の意見を加える話し方です。
相手の主張に対して称賛も同意もせずに自分の意見だけを述べると、相手は「自分の意見が全否定された」と感じ、不快になったり防御的になったりします。
相手の意見に反論しなければならない場合は、いったん相手の主張を肯定的に受け止めた上で、自分の意見をプラスして伝えることで、相手が受け入れやすくなります。
[例]
×そのアイデアはコストがかかりすぎるね。
△いいアイデアだね。でもコストがかかりすぎるね。 (Yes but)
○いいアイデアだね。あとはコストをどうするかが問題だね。(Yes and)
質問のかたちで意見する (言語的なアサーション・テクニック④)
意見を主張する際に質問の形で意見を伝えることで、相手に「反論された」と感じさせることなく自己主張できます。
自己主張が苦手な人でも意見を言いやすくなる手法です。
[例]
×私はAだと思います
○Aという考え方もありそうですが、どうでしょうか?
ポジティブな言葉を選ぶ (言語的なアサーション・テクニック⑤)
ネガティブ(後ろ向き、否定的)な表現は、相手が「攻撃された」と感じやすく、不快に感じたり防御的になったりする可能性が高くなります。
ポジティブ(前向き、肯定的)な表現を選ぶことで、相手から建設的な意見を引き出すことができます。
[例]
×なぜできないんですか?
○どうすればうまくできると思う?
具体的な事実で語る (言語的なアサーション・テクニック⑥)
部下や後輩を指導するときは、感情や精神論ではなく具体的な事実を挙げて伝えることで、相手が納得しやすくなります。
×あなたが作った書類、間違いばっかりだよ。もっとやる気出してよ!
○あなたが作った書類に、①と②と③の間違いがあったよ。
非言語的なアサーション
コミュニケーションにおいて重要な要素に、非言語コミュニケーションがあります。
非言語コミュニケーションとは「話し方」や「しぐさ」、「表情」などの言語以外によるコミュニケーションを指します。
コミュニケーションの種類 | 情報を伝える手段 |
---|---|
言語コミュニケーション | 言葉、文字 |
非言語コミュニケーション | 話し方、しぐさ、表情、アイコンタクト、ジェスチャーなど |
この非言語コミュニケーションが重要な理由は、人が相手からの情報を読み取る際に「言語的な要素」よりも「非言語的な要素」を重視しているためです。
メラビアンの法則によると、人が相手からの情報を判断する基準として、相手の言葉の内容はわずか7%しかなく、残りの93%が「話し方」や「表情」といった非言語的な情報だということです。
- 言語:7%
- 聴覚:38%
- 視覚:55%
※メラビアンの法則:アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが実験で明らかにした、人が相手から送信された情報を判断する時の基準となる要素の割合
そのため、アサーティブな自己表現を身につけるには、非言語的なコミュニケーションにも気を配ることが大切です。
例えば、「非主張的な自己表現」タイプの人は、声が小さく、いかにも自信なさげです。
また、「攻撃的な自己表現タイプ」の人は、腕組みをしたりふんぞり返ったりして、話していない時でも威圧的なオーラを出しています。
アサーティブな自己表現を身につけるには、このような態度を改めなければなりません。
「非主張的な自己表現」タイプの人や「攻撃的な自己表現」タイプの人が、「アサーティブな自己表現」に近づくためのポイントを次の表にまとめました。
この表を参考にし、非言語コミュニケーションにも気を配りましょう。
「非主張的な自己表現」タイプのアサーション | 「攻撃的な自己表現」タイプのアサーション | |
---|---|---|
声の大きさ | 少し声を大きくする | 声を小さめに抑える |
声のトーン | すこし低めの声で話す | 怒鳴り声をあげない |
話し方 | 「あのー」「えっと」といった余計な言葉を入れない 語尾まではっきり話す | 落ち着いてゆっくり話す 自分だけが話そうとせず、相手が話を待つ |
表情 | 感情に合わせた表情にする (困っているのにニヤけない、 嬉しいのにしかめっ面しない、など) | 眉間にしわを寄せない |
姿勢 | 背筋を伸ばす 相手に体を向ける | 腕を組まない 前のめりにならない ふんぞり返らない |
視線 | 相手の目を見て話す | 相手の目を見ず、 |
アサーションをロールプレイで体験する (アサーショントレーニング実践編①)
アサーションの理論やテクニックを学んだら、実際にアサーティブな自己主張を体験することで、よりアサーションの理解が深まります。
ここからは、アサーショントレーニングの実践編を解説します。
アサーションの理論を学んだ人が、実際にアサーションを体験するのに最適なのがロールプレイです。
ロールプレイとは、場面や状況を想定し、役柄を演じながら疑似体験する演習のことです。
アサーションのロールプレイでは、自分が自己主張するのが苦手だと感じる場面や状況・相手を想定して、アサーションのテクニックを活用しながらアサーティブな自己表現を疑似体験します
実際に体験することで、よりアサーションの理解が深まり、実生活でも自信を持ってアサーティブな自己表現ができるようになります。
具体的には次のようなロールプレイを行います。
- 仕事の依頼メールや部下への指導メールの文面を、アサーティブな表現で書いてみる
- 相手役の人と対面して、自分の意見をアサーティブに主張してみる
- 相手役の主張を、アサーティブに反論してみる
アサーションの研修では、このようなロールプレイによる体験トレーニングがカリキュラムに含まれていることがほとんどです。
ですが、この記事を読んでいるあなたは、研修に参加しているわけではないので、相手役を伴ったロールプレイは難しいかも知れません。
その場合は、ロールプレイを省いても大丈夫です。
後述するように、実生活の中で少しずつアサーションを取り入れていくことでも、無理なくアサーションを体験できます。
アサーションを実生活で実践する (アサーショントレーニング実践編②)
いよいよアサーションを実生活で実践するフェーズです。
アサーションを学んだばかりでしっかり身についていない段階では、いきなり全てのコミュニケーションをアサーティブにすることは難しいでしょう。
自分がやりやすい方法で、日々のコミュニケーションの中に徐々にアサーションを取り入れてみましょう。
具体的には、次のような取り入れ方がオススメです。
- 親しい人とのコミュニケーションで、アサーション・テクニックを試す
- 上司に報告するときに、報告内容をDESC法でまとめる
- 仕事の依頼メールをDESC法で書いてみる
アサーティブな自己表現をしたときの相手の反応も観察しながら、徐々にアサーションを使う範囲を広げていきましょう。
少しずつ慣れていくことでアサーションが上達し、アサーティブな自己表現が自然にできるようになります。
まとめ
アサーションとは「自分も相手も大切にする自己主張」であり、相手を不快にさせずに自分の考えや意見をしっかり主張するためのコミュニケーションスキルです。
近年は、パワハラ対策やメンタルヘルス対策、テレワークでのコミュニケーションとしても注目さています。
アサーションを身につけると、次のような効果が得られます。
- コミュニケーション能力が向上する
- 仕事の生産性が高まる
- 気まずい話がしやすくなる
アサーションでは、自己表現のタイプを次の3タイプに分類しています。
- 非主張的な自己表現
- 攻撃的な自己表現
- アサーティブな自己表現
良好な対人関係を築く上で理想的な自己表現は、「アサーティブな自己表現」です。
あなたもアサーションを身につけることで、アサーティブな自己表現ができるようになり、仕事の成果を向上させられます。
アサーションを身につける準備として、まずは現状の自分の自己診断タイプが3つのうちどれに当てはまるのかを、無料の診断シートでチェックしてみましょう。
アサーションを身につけるためのアサーショントレーニングは理論編と実践編に分かれています。
理論編でアサーションの考え方やテクニックを学び、繰り返し実践することでアサーションが徐々に身についていきます。
あなたもアサーションを身につけて職場のコミュニケーションを円滑にし、ストレスレスな人間関係を築きましょう。