メールをチェックしていて、気づいたら1時間以上たっていた。
テレワーク中に、集中力が切れてスマホを見てしまっている。
そんな経験をしたことはありませんか?
これらの問題は、セルフマネジメントができていないことが原因です。
セルフマネジメントを学んで実践することで、重要でないことに時間を使ってしまうことを防ぎ、高いパフォーマンスを維持できるようなビジネスパーソンになれます。
本記事ではセルフマネジメントの具体的な方法を解説しています。
ぜひ参考にしてください。
セルフマネジメントとは
セルフマネジメントとは、自分自身を管理し、自分の能力を最大限発揮できるようにすることです。
全てのビジネスパーソンにとって、自分自身を管理するセルフマネジメントのスキルは最重要です。
マネジメントの神様と言われているP.F.ドラッカーも、セルフマネジメントの重要性を次のように説いています。
これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない
『プロフェッショ ナルの条件』 著者:P.F.ドラッカー
高いパフォーマンスを出すためにセルフマネジメントで管理する主な対象は、次の4つです。
- 時間
- 仕事
- 睡眠
- ストレス
これらを適切に管理することで、自分自身の持てる力を最大限に発揮でき、日々の生産性を高めて、継続して高いレベルのパフォーマンスを出せるようになります。
セルフマネジメントの方法
セルフマネジメントの具体的な方法は次の5つです。
自分自身を知る
セルフマネジメントを実践するためには、まず自分自身の能力や長所、短所、行動、習慣を客観的に知らなくてはなりません。
客観的に自分自身を知ることで、自分でも気づかなかった特性や思考のクセがわかり、適切なセルフマネジメントが実践できるようになります。
自分自身を客観的に分析する具体的な方法には、次の手法があります。
- Strengths Finder 2.0(ストレングス・ファインダー 2.0)
- エニアグラム診断
- 同僚や上司に「私の強み、弱み」を聞く(他己分析)
特に、同僚や上司に「私の強み、弱み」を聞く他己分析は、自分のことを実際に見ている人の意見が聞け、思いも寄らない自分の強みや具体的な改善点が浮き彫りになるためオススメです。
同僚や上司に「私の強み、弱み」を聞く他己分析の具体的なやり方
特に親しい同僚や上司2,3人に、次の2点を質問します。
- 私の「ここがすごい」「ここは他の人にはまねできない」と思う所を具体的に教えてください
- 私の今後に期待することを具体的に教えてください(「こうなってくれるとありがたい」「こうなってくれると頼もしい」など)
質問の回答は、あとから何度でも見られるようメールや電子テキストで回収します。
このような質問をするのは、恥ずかしくてハードルが高いですが、勇気を出して質問することで、自己分析がいっきに進みます。
時間を管理する
時間を管理する目的は、自分にとって価値が低いことに使う時間を排除して、重要なことに時間を集中させるのが目的です。
そのための時間管理のポイントは、次の2点です。
- 次に何をやるべきかがわかっている状態を作る
- やるべきことに集中する
次に何をやるべきかわかっている状態を作る
時間管理のポイントの1つ目は「次に何をやるべきかがわかっている状態を作る」です。
常に「次に何をやるべきかがわかっている」状態でいることで、次に何をするか悩むムダな時間を排除できたり、苦手な作業を後回しにしてしまったりすることを防げます。
次に何をやるべきかわかっている状態にするには、作業の計画をたてることが重要です。
とはいえ、多くの人にとって精度の高い計画を作るのはハードルが高いもの。
そこでオススメしたいのが、計画として「今日のあらすじ」を書く方法です。
あらすじとは読んで字のごとく粗い筋書きです。
その日の作業計画として、次のようなあらすじを書いていみてください。
出社したらまず朝会に出る
朝会では、昨日判明した課題について報告する
朝会がおわったら、やりかけていた資料作成を1時間で仕上げて、課長に送って、
それからメールチェックを10分やって、
次のプロジェクトに必要な技術の勉強を午前中いっぱいやろう。
午後は新しいサービスの企画書作成を2時間やって、
その後15時からの会議に出席して、
会議の後はプレゼン資料を作って、それが終わったら帰ろう。
このようなあらすじを書いて、「その日に何をどんな順にやるか」を決めてしまえば、あとはそのとおり行動するだけという状態にできます。
やるべきことに集中する
時間管理のポイントの2つ目は「やるべきことに集中する」です。
作業計画で次にやるべきことを決めていても、やるべきことに集中できなければ生産性は上がりません。
生産性を上げるには、SNSを見たりメールチェックしたりするのは後回しにして、今やるべきことに集中することが重要です。
今やるべきことに集中するオススメの方法は、ポモドーロ・テクニックを使うことです。
ポモドーロ・テクニックとは、作業時間を短く区切って短い休憩をはさみながら作業を行う手法で、高い集中力を維持するテクニックです。
具体的には次のように行います。
人間には、作業する時間が決められている方が集中力が高くなるという特性があります。
ポモドーロ・テクニックでは1回あたりの作業時間を25分という短い時間で区切るため、その25分間はメールやSNSも気にならなくなり、高い集中力が維持できます。
5分休憩します。
休憩時間は、コーヒーを飲んだりトイレに行ったりします。
作業のことは一切考えずにゆったりした気持ちで過ごすことがポイントです。
25分作業+5分休憩を1ポモドーロとして、ポモドーロを繰り返します。
4ポモドーロ終了したら10分間の休憩を取ります。
集中すると疲れますが、短い休憩をこまめに挟むことで回復でき、25分間の作業時間は高い集中力を維持できます。
また作業するのにかかったポモドーロ数を数えておくことで、見積もりと実績の差異を把握できます。
仕事を管理する
与えられた仕事や自発的な改善など、仕事は無限にあります。そのため自身が行う仕事を選別し、重要な仕事に時間を使うことが大切です。下図は仕事のタイプを重要度と緊急度によって4つに大別したものです。
仕事が発生したら、その仕事がこの図のどこに当てはまるかを考えましょう。
①は緊急かつ重要な仕事です。
顧客からのクレーム対応などがこれにあたります。
この領域に入る仕事は、他の仕事を後回しにしてでも真っ先に取り組むべき仕事になります。
②は急ぎではないが重要な仕事です。
将来のための改善や仕組みづくり、自身の成長のための学習、将来のビジネスの戦略立案などがこれにあたります。
③は重要ではないが急ぎの仕事です。
形式的なだけでほとんど誰にも読まれない日報の作成や、重要ではない打ち合わせがこれにあたります。
④は重要ではなく急ぎでもない仕事です
本来は必要のないムダなルーチンや、自分は出なくて良い会議への出席などがこれに当たります。
この領域に入る仕事はやらないときっぱり割り切ることが重要です。
②の仕事は、急ぎではないため後回しにされがちですが、将来の価値につながる重要な仕事です。
セルフマネジメントでは、③の仕事に忙殺されずに②の仕事にフォーカスすることを意識します。
③に分類された仕事は、高い品質を求めず短時間で終わらせる、あるいはやらないと判断することで、②の仕事をやる時間を多く作るようにします。
睡眠を管理する
あなたの最大の資産はあなた自身です。
あなたという大切な資産を守るために、毎日十分な睡眠を取ることが重要です。
睡眠を改善することは生産性の向上にもつながります。
経済産業研究所のレポートでも、睡眠改善により生産性の指標が5%あるいは10%改善すると述べられています。
経済産業研究所のレポート:睡眠改善アプリを用いた健康経営施策が生産性に与えた影響:RCTに基づく検証
日々の生産性を高め最大のパフォーマンスを発揮するには、十分な睡眠を取ることが必要不可欠なのです。
十分な睡眠の量には個人差があるため、どの程度睡眠をとればよいのか一概には言えません。
1週間ごとに睡眠の時間を変えてみて、自分が何時間寝ると頭がさえて生産性が上がるかを把握しておきましょう。
ストレスを管理する
ビジネスパーソンは、業務を遂行する中でさまざまなストレスにさらされています。
適度なストレスはやる気を奮い立たせて、生産性の向上につながります。
しかし、過度なストレスがかかると心身に不調をきたし、生産性が低下してしまいます。
そのため、セルフマネジメントで自身のストレスを管理することも重要です。
ストレスを管理するポイントは以下の2点です。
- ストレスサインを見逃さない
- ストレスに早めに対処する
ストレスサインを見逃さない
ストレスがたまったとき、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。体にどんな影響が出るでしょうか。
ストレスがたまるとイライラしやすくなる、落ち込みやすくなる、口内炎ができる、胃腸が悪くなるなど、心や体に何かしらの変化が出てきます。
これがストレスサインです。
どんなストレスサインが出るかは人によって違います。自分がストレスを感じた時にどんなストレスサインが出るかを把握しましょう。
忙しくて頑張っているときほど、自分ではストレスに気づけないものです。そんなときでもストレスサインを見逃さなければ、ストレスがたまっていることに気づけます。
ストレスに早めに対処する
ストレスがたまっているときは早めに対処しましょう
交感神経の興奮を抑制し、副交感神経の働きを優位にするリラクセ−ションが、ストレス対策に有効です。
リラクセーションの具体的な方法は、ウォーキングやジョギング、水泳などの適度な運動、精油の芳香によるアロマテラピー、マインドフルネス瞑想などがあります。
働き方改革でセルフマネジメントが高い効果を発揮する
セルフマネジメントを実践すると、多くの場面で活躍できるようになります。
特に次のような場面では、セルフマネジメントが高い効果を発揮します。
定時退社日(ノー残業デー)
働き方改革により長時間労働が見直され、定時退社日(ノー残業デー)を導入する企業も増えてきたのではないでしょうか。
残業ができなくなり業務時間は減っても、仕事が減るわけではありません。
仕事が終わらないのに上司からは早く帰れと言われる、などといった場面も出てくると思います。
そんな時にセルフマネジメントが効果を発揮します。
セルフマネジメントにより生産性が向上すれば、これまでと同じ量の仕事を短時間で終わらせられるようになり、仕事をやりきって定時に帰れるようになります。
副業の推進
人生100年時代での働き方の多様性や、起業による地方創生の促進の観点から、政府は働き方改革の一環として副業・兼業の普及促進を図っています。
そんな政府の方針を踏まえて、副業を許容する企業が増えてきました。
副業は、本業以外での収入源が確保できる一方で、睡眠時間が削られて本業に支障が出るリスクもあります。
副業する人はセルフマネジメントでの睡眠管理やストレス管理が特に重要です。
テレワーク
コロナ禍でテレワークを導入する企業が増え、テレワークによる在宅勤務の仕組みや制度の整備が一気に進みました。
テレワーク中は、同僚や上司が見ていないという気の緩みから、どうしても集中力が途切れがちです。
テレワーク中に、「仕事をしないと」と思いながらついついスマホを見てしまう、なんてことありますよね。
そんな時は、セルフマネジメントによる時間管理が効果を発揮します。
前述したポモドーロ・テクニックを使うことで、テレワーク中でも高い集中力が維持できて、スマホに気を取られることなく作業を進める事ができるようになります。
まとめ
セルフマネジメントの具体的な方法やセルフマネジメントが特に効果を発揮する場面を解説してきました。
今やセルフマネジメントは、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。
セルフマネジメントの実施なくして、生産性を高めることはできません。
紹介したセルフマネジメントの具体的な方法のうちの一つだけでも、あなたの生活の中に取り入れてみてください。
あなたの生産性が向上し、今以上の成果が出せるようになります。